看護セミナー Seminar

2023年8月19日開催 日本赤十字社医療センター 出本 明先生 高齢者の女性特有のカラダのトラブルについて

なかなか普段聞くことのない、高齢者女性特有の身体のトラブルなどについて、非常に分かりやすくご講義いただきました。

受講者の皆様からのご質問に、出本先生にお答えいただきました!
Q1 出血の色などは茶色やベージュのようなのも出血になるのでしょうか?
(現在102歳のほぼ寝ている状態が多い利用者様がおられて、以前にそのような色の帯下が出たことがあった) A ご質問ありがとうございます。
古い出血や、粘膜からの出血であれば茶色になることもあります。ベージュはもしかしたら帯下が混ざっているのかもしれません。今は止まっているのでしょうか。発熱や出血、帯下の増量等がなければ経過観察と判断されることが多いと思われます。
Q2 高齢女性、しかも、すでに移動や意思疎通も困難である方の出血を伴う帯下がある方が複数名いらっしゃいました。
受診いただくにもご本人の負担もあるため、主治医(男性)は受診の必要性はないとの意見で受診につながらずでしたが、CM(ケアマネジャー・女性)としてはこのままでよいのか?と思案したことがあります。
このような利用者さんに向け、往診で見ていただくすべはないのでしょうか? A ご質問ありがとうございます。
看護スタッフ等が医師に報告しているにもかかわらず、医師が受診を指示しないため受診につながらない、という話を私もよく聞きます。同性で、近くで見ている身としては、何かできないのかと思案するお気持ちも十分に理解できます。
しかし意思疎通も困難で移動も難しい状況であれば、優先順位が低いと判断する医師の判断も支持できるところです。
よほど帯下が続き、発熱等も伴い感染兆候を認めるようであれば、婦人科を受診せずとも往診医によって感染の治療を行うことと思います。
授業では述べませんでしたが、ある程度自立して身の回りのことができる方にはADLやQOLの維持向上のためにマイナートラブルへのケアは必要なことと思いますが、ADLも全介助でご本人の認知機能も低下しているような場合であれば、受診行動を取ることも負担になりますのでトータルでの判断が重要だと感じます。
その緊急性を判断するために訪問時に一緒に帯下を見てもらう、陰部洗浄を強化する、こまめにパット交換を行う、下痢等があれば下痢のコントロールなどが看護ケアとしてできることかなと思います。あとはもし医師に提案できるようであれば、帯下を培養に出して、膣症であれば膣剤の検討をしてもらってもいいかもしれません。ただそこまでやってくれる医師が少ないのも現実だとは思います…
セミナーアンケート(受講者の感想)
有意義な講義ありがとうございました。高齢者のセクシャリティの興味深い部分も聞けて、今後の関わりの中で気にかけていこうと思いました。ありがとうございました。
日々の業務の中で、このようなマイナートラブルに関しては意識が薄れていました。
基本に立ち戻り明日からの支援に取り入れていきたいと思います。ありがとうございました。
出本先生によるわかりやすい研修がとても良かったです。施設でよく女性の出血がありましたが何がどうなっているか分からなかった。とりあえずの受診は勧めて行くことが大事だと思いました。
事例を踏まえてのお話を伺うことが出来有難うございました。利用者さんだけでなく自分たちの今後にも生かしていこうと思います。