看護セミナー Seminar
2024年8月21日開催 日本赤十字社医療センター 伊藤 麻紀先生 今こそ知っておきたいフットケアの知識
高齢者に起こりやすい足の病変や、ケアの方法、また、病院で勤務されているからこそ、「こうなる前に来てほしい」という内容等々を丁寧にお話しいただきました。
- 受講者の皆様からのご質問に、伊藤先生にお答えいただきました!
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Q1
心不全があり、廃用性浮腫にて、毎日洗浄、保湿、弾性包帯を巻き直しに訪問しています。水疱形成、破疱を繰り返し起こしている場合、弾性包帯の巻き方に問題があるのでしょうか?日中、夜間と椅子で過ごしていることが多く、認知症もあり下肢の状態への理解はありません。宜しくお願い致します。 A
水疱形成と破裂を繰り返しているのは、部位はどこでしょうか。関節部位や足背など動く部位の場合は包帯がずれやすく水疱こともあります。
その他の部位であれば、圧迫療法が適切な圧で行われ、包帯がずれずに行えているのか、ずれやすい場合には、弾性包帯の下に皮膚の保護のために面包帯を履いてずれを予防するなどの対策を考えることもできます。
ただし、水疱ができるのは浮腫のせいだけではなりません。水疱ができやすい疾患、たとえば類天疱瘡や何らかの感染などを除外する必要性があるかもしれません。
浮腫のケアとして圧迫療法が効果的でなく、水疱形成、創傷発生、創傷治癒遅延を起こしている場合には、圧迫療法そのものが可能なのか、ということも検討しなければならないと思います。水疱破裂後の創傷は、漏出してくる吸収と創部への固着予防、創周囲皮膚の浸軟予防を総管理として行うために圧迫療法を確実に行うことも求められますが、圧迫療法そのものが心不全や腎不全など原疾患に関連するものや改善しにくい背景がある場合には、適度な圧による圧迫療法と愛護的スキンケアを行いながら、治りにくいことをご家族、チームメンバー内で共有し目標を修正することも検討する必要があると思います。
浮腫に伴う創傷は治りにくく半年又は年単位で悪化と改善を繰り返す方もいます。その方がどのようなプロセスをたどって今に至るのか、振り返って治癒する創傷か、ケアの妥当性、圧迫療法の継続についての検討などをすることをお勧めします。