看護セミナー Seminar

2021年11月27日開催 武蔵野赤十字病院 腫瘍内科部長 中根 実先生 すぐに役立つ!
在宅で役立つがん治療の今どきの知識

緩和ケアにおいて大事なこと、利用者様に寄り添うために重要な事を気づかされるセミナーでした。

受講者の皆様からのご質問を、中根先生にお答えいただきました!
Q1 ケース相談です。がん診断から亡くなるまで1か月と短いケースです。お子様が3人おり、キーパーソンと情報交換しながらケアしていましたが、亡くなった後他のお子様が、もっと医師に訪問してほしかった、許せない、と怒りを表明されています。アドバイスをお願いいたします。 A ご質問ありがとうございます。
訪問診療の現場と病院診療の現場は状況が異なることがあります。病院診療でできることと訪問診療でできることは違う、という前提を置いてお話をすることが必要です。
在宅で緩和ケアを行う場合は訪問診療の先生にどこまで向き合ってもらえるか、また、訪問診療の先生が疼痛管理にどこまで長けているか(専門性が異なる)というのが異なります。
患者さんやご家族様に、往診にはどのくらい来てほしいかといったことなどをしっかりヒアリングしていくことが重要です。
Q2 意思決定支援についてですが、余命が迫ってもなお治療を希望されたり、ご家族と意見がかみ合わない場合は、医師の立場でどの様にお話しされますか? A ご質問ありがとうございます。
先日も70歳くらいの進行性胃がんの女性がいらっしゃいました。ご自身はホスピスに行くつもりだとお話されていましたが、息子さんは積極的な治療を望まれていました。患者さん、息子さん、看護師と一緒に話合いをし、一旦は積極的な治療をすることとしました。
ですがやはり2か月くらいで体調が悪くなり、最終的にはホスピスに向かうことになりました。
患者さんは大切な人の気持ちを汲んで自分の意思決定を変更する場合があります。そういった場合には何度もお話を聞くことが重要です。
このケースの息子さんも、何度かお話したり、実際に治療を受けている様子を見るうちに納得されたようでした。
Q3 外来治療をしている中で徐々にPSが悪化していき、往診医へ移行するときにご家族様やご本人に混乱が起きやすいです。スムーズに移行するにはどのような連携が必要でしょうか?また、訪問看護師にできることはありますか? A ありがとうございます。
医師としては先々のプランについても話をしている、共有してはいるけれども、患者さんには先々のプランが認識できておらず、突然在宅に切り替える、訪問看護が必要になる、と言われると、「私たちを見捨てるんだ」といった気持ちになってしまうことがあります。
治療のステージごとに、こういったプランで治療をしていく。このステージでは訪問看護も使って診療の厚みを増やしていく、とお話するようにしています。そうすると納得してくれることが多いようです。話し方、伝え方、時期、回数も重要です。
訪問看護、訪問診療としては、病院の担当医や治療室の看護師などと連携をとり、その方にどういった治療をしているか、どんな様子かなども聞いてもらえると良いかと思います。